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油防除の基礎知識に関する水槽実験及び講演を実施

■油防除の基礎知識に関する水槽実験及び講演を実施
 

実施日時
平成29年7月20日(木)
 
実施場所
ホテルセンチュリーイカヤ(新潟県上越市)
 
講習会の内容
「水槽実験」
「油防除の基礎知識」に関する講演

 

講習会概要

 本講習会では、「水槽実験」及び「基礎知識」の講演をあわせて約50分間実施し、公共団体及び企業等における油濁対策のご担当様と、万一の油濁事故に対応するための「事前対策」を講じるための基礎知識を確認してまいりました。
 
*なお今回の講習会の写真については、講習参加者様のプライバシー保護のため一部の写真に加工がございますので予めご承知おきください。
 

1.「水槽実験」
 

今回は、今年初の機構講師による「水槽実験」に重点を置き、お伝えしてまいります。
 
―油濁事故の現場では、流出した油にあった防除資機材を選ぶ必要があります。今回の水槽実験では、A重油、C重油に対してどのような資材が効果的か?A重油とC重油が一緒に流れてきた場合には?そして、油処理剤の効果を実際にご覧いただきました。
 
*油種に関するポイント*
①A重油は軽質油に分類され、軽油9割・残渣油1割で、形状は「さらっ」としています。
それに対し
②C重油は高粘度油に分類され、軽油1割・残渣油9割で、形状は「どろっ」としています。
 
 それでは水槽実験の開始です。
 

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まずは

―A重油などの粘り気が少ない油

こちらには、油吸着マットなどの油吸着材の使用が効果的です。
 

 
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 ↑ こちらが使用前の油吸着マットです。
 
水槽に60ccのA重油を入れ、そこに乾いた状態の5gのマットを投入しました。
これは、マットはカタログ上、自重の約12倍の油を吸着するためで、ほぼ全量を回収できる計算にもとづくものです。
 

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ほぼ全量回収することができました。A重油のような“さらっ”とした性質の油は“吸着”させて回収することがポイントとなります。
 
 
続いては

―C重油の回収実験です

ここでは、港で入手しやすい「漁網」にみたてた「網」での回収実験をおこないました。
 

 
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 網でC重油を絡めとっております。

 
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ぶじ回収することができました。
C重油のような“ドロッ”とした性質の油は“絡めて”回収することがポイントとなります。
  


それでは

―A重油とC重油が一緒に流出しているケース

に対応できる資材はあるのでしょうか。

実際の事故では、A重油のみ、C重油のみ、流れるということではなく、同時に様々な種類の油が流れてくることが想定されます。
 

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そこで、講師が手にしている白いふわっふわっとしている「吹流し型(極細タイプ)」の資材で実験をおこないました。


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資材を投入していきます。
 
「吹流し型(極細タイプ)」は、吸着マットと同じような材質で、細かい繊維状になっでおります。

そのため、C重油のような高粘度の油は「絡めて」回収。A重油のような低粘度の油は「吸着」して回収することができます。
 

 
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 ほぼ全量回収することができました。

―最後に、油処理剤の効果について実験をおこないました。
 

 
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・右から「油処理剤原液」を散布するビーカー
・中央「水で薄めた油処理剤」を散布するビーカー
・左が「洗剤」を散布するビーカー
 
(なお、実験による検証のため「洗剤」を散布しておりますが、海での洗剤の散布は法律で禁止されておりますのでご注意ください)
 

まず最初に、油処理剤のことをよく「中和剤」と聞き「中和=無くなってしまう」と思われますが、実際、油はなくなりません。
油処理剤の効果は「油を細かい粒子にし、分散させることで自然分解を促進させる」ことにあります。
 
 

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「油処理剤原液」を散布
 

 
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 「水で薄めた油処理剤」を散布
 

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 「洗剤」を散布
 
 
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さて、油処理剤の効果に関する実験結果ですが、中央の「油処理剤原液+水」と比較し右側「油処理剤原液」のほうがビーカーの下の色が若干濃くなっております。
中央「油処理剤原液+水」は、処理剤が油より先に水と接触、水と反応して白濁し、処理能力が低下している状態です。
 
―油処理剤は原液で使用した方が効果があるということです。
 
そのため、油処理剤の散布にあたっては「水と反応させないように使う」ことをポイントに、海水等で希釈しない、また、放水銃による撒布は行わないことが大切です。
 
また、通常、油処理剤を使ったら攪拌する必要もあります。船で航走攪拌することで分散を促進させることが出来ます。
 
なお、左側「洗剤」は、使うと一見きれいになった様に見えるのですが、油は海底に沈み込んでしまい汚染が継続してしまいます。
 

2. 「油防除の基礎知識」に関する講演 
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 水槽実験に続き、万一の油濁事故防除対応について、これだけは知っておきたい「基礎知識」を約20分間に凝縮し講演をおこないました。
 
―そもそも油にはどのような種類のものがあるのか
 
―油種に適した防除資機材について
 
―オイルフェンスについて
 
―河川での事故事例及び防除方法について
 
 
 講演に関する詳細につきましては、平成29年6月21日開催の和歌山講習会のレポート(http://www.umitonagisa.or.jp/html/post_217.html)もぜひご参照ください。
 
 
 いざというときの油濁事故への「事前対策」を講じるためには、定期的な実働・机上訓練、講習会の実施がとても役に立ちます。
その際、当機構の油防除講習会の開催をご検討いただけますと幸いです。講習会の詳細やご質問など、ぜひご遠慮なくお問い合わせください。
 

 
3.質疑応答
 

質問1.油吸着マットに使用期限はありますか。
回答1.使用期限は特にありません。劣化の度合いに関しては保管状態によって変わります。一般的な吸着マットであれば保管状態がよければ何十年と保管していても使うことが可能です。
 
質問2.河川に油が流出する際の防除方法として、最適な方法があれば教えて下さい。
回答2.まず、やってはならない事をしないことです。初期対応でよくあるのが、あわてて薬剤を撒くということです。薬剤の効果は油を分散することであり、後で物理的に回収することができなくなります。また、油が若干沈み込みます。近くに漁場や取水口がある場所で使うと問題になることもありますので注意が必要です。
その上で、適切な対応につきましては、当機構のホームページに油防除マニュアルや河川防除の記事がございますのでご覧いただければと思います。
 
 
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